弾き、弾かれ

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俺だって木の股から生まれたわけじゃない

五歳の誕生日には、母親からケーキを貰った。

六歳の誕生日には、父親から玩具の刀を貰った。



七歳の誕生日には、両親からゴーストの殺し方を教わった。



―――惨ッ!!
一刀の下に妖獣を斬り捨てる。

勝利の喜びなど無い。
今日もまた、生き延びる事が出来た。
嫌な汗が全身を覆い、荒い息をつく。

「おーおー、様になってきたじゃないのボーズ」

拍手をしながら煙草を咥えたニヤケ面の男が近づいてきた。
肩まで届く長さの茶髪、黒スーツにサングラスに白いマフラーと、何処のマフィアかという出で立ちだ。

「・・・親父」

そう、この男こそ俺の父親だ。
その横からぴょこっ、と飛び出る水色の髪の女。

「うーん。まだちょーっと、動きが硬いかなっ?」

その透き通るような髪をショートカットにした少女、といっても差し支えないような外見。
その華奢な身体を包んでいるのは飾り気の無い純白のワンピース。
否、その白の所々に返り血と思わしき赤い斑点が見えた。
アーパー系の喋り方に騙されそうになるが、親父よりも年上だ。

「お袋」

この女こそ、俺の母親だ。
整わない呼吸に苛立ちながら二人の元に歩いてゆく。

「今ので、最後なんだろ?もう臭わねえぜ?」

親父は煙を吐き出しながら

「ま、そうなるな」
「わざわざ一匹だけ残しといたんだから、感謝しなよぉ?ハジキちゃん♪」

毎度の事ながらお袋の話し方はうざったい。しばくぞ。
・・・だがまあ、確かに俺を鍛えると言う意味ではこの二人のやり方は実に手際がいい。
弱った敵、レベルの低そうな敵を俺に当ててくれる。
この電鋸剣の扱いにもだんだん慣れてきた。
呼吸も整ってきたし、そろそろ次のステップに進みたい所だ。

ふと、お袋の顔が険しくなる。

「・・・参ったなぁ。囲まれてるよ」
「ッ!マジでか!?」

驚いて辺りの気配を『嗅いで』みる。
1・2・3・・・クソッたれ!10匹以上はいやがる!
・・・上等だ、殺ってやンよ!!
両手に携えた電鋸剣を握る手に力を込め飛び出そうとすると、親父が手でそれを制した。

「おいおいボーズ、テメェにゃ荷が重過ぎるだろ?」
「俺だってゾンビハンターの端くれだ!これ位・・・ッ!?」

突然親父に頭を掴まれた。
メリメリと骨の軋む音が頭蓋を通じて直に聞こえる。
っつーかアイアンクローじゃねえか!

「いいかいハジキ。お父さんはね、君の為にザコ相手に手加減とかしてて、とーっても欲求不満なの」
「痛え痛え痛え!!ちょ・・・オイ!」
「でね、お父さんストレス発散しようと思うんだけど、可愛い可愛いハジキが飛び出しなんかしちゃったら、お父さんはそれを気にしながら戦わないといけないだろうがァ!!!!」

凄い音と共に床に叩きつけられた。
精神が肉体を凌駕しなければ死んでたかもしれない。
あ、やべ、頭の中が白くなってきた。

「ちょ・・・ちょっと!!」

お袋が声を上げる。
ああ、心配してくれてるのか。しばくとか言ってごめんね母さん。

「アタシの取り分も残しといてよ!!」

前言撤回。くたばれババァ。

「あ?テメェさっき思う様暴れてたろうがよ」
「それとこれとは話が別でしょぉ?子守は男の役割だよん♪」
「あの・・・ちょっと・・・」
「は?は?何言っちゃってんのこの年増」
「・・・もっぺん言ってみろド低脳」
「あのね、俺ちょっと洒落になってないんだけど・・・」
「やーい年増!やーい年増!やーい年増!」
「ほほう、ゴースト共より先に肉塊になりたいと見た」
「おおい・・・助け」
「「う る せ え だ ま れ !!!」」

倒れてる俺に向かって二人揃って足を振り上げるとほぼ同時に目の中に火花が散り、俺の意識はそこで途絶えた。






「ってな事もあったなぁ」
「そんな郷愁に浸るようないい思い出じゃねえだろうがよ親父!!」
「いやーお前にも見せてやりたかったよ。あの時の俺様の雄姿をさー」
「お 前 が 気 絶 さ せ た ん だ ろ う が!」
「男が細けー事気にすンなよハジキ。だからハゲんだよ」
「ハゲてねえ!!俺はハゲてねえ!!」
「あっ、その肉もーらい」
「ああっ!このクソ親父!!」

鍋を挟んで火花を散らす二人の漢(ヲトコ)

「ありゃりゃ、元気がありすぎるのも困りものだね♪」

野菜の盛り合わせを運んできた母親が、微笑んだ。
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なんてステキなペアレンツ

お二人の間に、深い絆を感じます。
そう、魂に至るまでの深い絆を。

SとTってそう言う事かー!!
と、今さら気づいた田吾作は多分ばかなんだと思います。

  • 20061013
  • 田吾作 ♦wm6RgFN2
  • URL
  • 編集 ]
まさに外道

さすがは植松夫妻! 容赦がねえぜ!

  • 20061013
  • 比留間の中の人 ♦mD5gn8q6
  • URL
  • 編集 ]
いちいちタイトル考えるのって手間ですね

>田吾作どん
スピリチュアルなリンク、感じたかい?
父親の職業はコンピューターを駆使したクリエイティブな仕事。
母親は専業主婦といった所でしょうか。

>比留間の中の人さん
むしろ銀雨からのお知り合いの方々がこの負債(not誤字)の事をどう思ったのか知りたい所。

  • 20061013
  • 弾の後ろの人 ♦-
  • URL
  • 編集 ]
Re: 俺だって木の股から生まれたわけじゃない

GJ、この夫婦はいい負債を残してくれました
ハジキくん。期待してますよ(ぇ

  • 20061014
  • 狢の後ろの人 ♦-
  • URL
  • 編集 ]
あはははは

これは とてもよい 家族 ですね。

なるほど、この程度なら慣れているから大丈夫、と(めも)
扱いを考え直す必要がありますね?

  • 20061014
  • いのり ♦-
  • URL
  • 編集 ]
クックック・・・

>狢くん
この俺の一人息子が負債だと!?
その通りだ!!

>いのりちゃん
ふむ、君は中々素質がありそうだ。
是非もっとハードにやってくれたまえ。

  • 20061015
  • ハジキのパパン ♦-
  • URL
  • 編集 ]

>ハジキ
……親は大事にするべきと判断する。殺しても死ななそうだが一応(ぽむ)

>ハジキのパパン
俺の試合を『観て』いた雰囲気の人種だな。
…だからといって、どうということはないが。
(マフィアは闘技場のお得意さんなのでしたorz警戒!警戒ー!)

※あ、リンク張っても良いですかー

  • 20061015
  • 御剣・舞斗 ♦qleUZF9k
  • URL
  • 編集 ]
(僅かに片眉を動かし)

>マイトくん
おや?君は・・・(気付いたようにニヤリと笑い)
いや失礼、『はじめまして』

ハジキなら今徒競走最下位の罰として別室でアレをナニしてる最中だよ。
よかったら見ていくかい?

※どんどんリンクしちまって下さいやー

  • 20061015
  • ハジキのパパン ♦-
  • URL
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