弾き、弾かれ

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ジャスティス

銀誓館学園に入学するちょっと前のお話。



意識が一瞬にして遠のく。
殴られて吹っ飛び、頭が壁にぶつかったと理解するまでに数秒を要した。
朦朧とする頭に鞭を入れ、膝を付きながらも殴った張本人を睨みつける。

「…テメェ、もっぺん言ってみろ」

張本人こと、親父が言った。

「何処かの誰かの為に剣を取る?その身を盾にする?」

俺の目の前に立ち、見下ろしているのは心底軽蔑したような親父の目。
『悪』と一般的には呼ばれている人種の、目。

「ふざけた事ぬかせよオイ。テメェにゃ折角力があるんだろ?
 見も知らねえ赤の他人庇って何になる?」
「俺の憧れた心意気は、無駄だってのかクソ親父」
「無駄じゃない。『無価値』だ」

瞬間、脳ミソに血が昇った。

――コイツは、潰す。

バランス感覚もままならないまま、親父のドテッ腹目掛けて全体重を乗っけた拳を打ち込む。
対して親父は構えてすらいない、外す筈が無かった。
無い筈だった。

「がぁはっ!?」
「調子に乗るなよ、小僧」

が、床に組み伏せられていたのは俺。
何が起こったのか解らない。
気付いた時には仰向けに倒され、更に腹を踏まれていた。
俺を踏みつけたまま親父は言葉を続けた。

「俺は『自分の為だけに』力を使う。その方が『楽しい』からな。
 他人がどうなろうと知った事じゃねえ」

そこで俺はニヤリと笑う。
踏みつけられながら笑う俺に親父は訝しげな視線を送りながら、

「何だ、何がおかしい」
「いや親父、言い方を変えるよ。
 俺のちっぽけな自尊心と優越感を満足させる為に、俺は力を使う。
 つまり俺は『自分の為だけに』力を使う。それは『楽しい』からだ。
 結果として、『人が助かっちまう』かも知れねえけどな」

それを聞いた親父は少し黙った後、

「ク…ククク……クハハッハハッハッハハハハハハアッハハアッハ!!」

狂ったように笑い始めた。

「そうか!そりゃいい!成る程な!成る程!ああ成る程!!」

俺から足をどけ、天を仰いで笑い続ける。
自由になった俺は親父を睨み続けながら壁に手を着き立ち上がる。

「クハハハハ……解ったよ。よぉっく解った」

一人大仰に頷き何かを納得したらしい。

「いいんじゃねえか?貫いてみせろよ、その我侭」

未だ以って睨みつける俺を尻目にふふんと鼻を鳴らし、
親父は財布を手に玄関に向かう。

「煙草、買ってくるわ。息子をボコした後の一服は格別だからな」

さいですか。

「あ、後一つ聞かせろ」

靴を履き、俺に背を向けたまま背中越しに親父が言った。

「お前の欲求は、何だ?」
「正義」

間髪入れずに答えると、何も言わずに親父は煙草を買いに行った。
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この記事へのコメント

その性質、真逆

『たいした息子だな、兄じゃ?』
とは某殺ジン鬼、地獄令嬢の言葉なり。

  • 20061018
  • 比留間の中の人 ♦mD5gn8q6
  • URL
  • 編集 ]
故に『面白い』

『いいだろ?欲しいか?やらねえよ』
とはミスターグラサンことパパンの言葉なり。

パパンアイコン欲しいわー。
絵心の無さが恨めしい。

  • 20061019
  • ハジキの後ろの人@トール ♦-
  • URL
  • 編集 ]
Re: ジャスティス

何だ其のバラライカとロック。

  • 20070306
  • 鳩@コベルニル・ゲゲーダン・バ ♦-
  • URL
  • 編集 ]
Re: ジャスティス

>鳩ちゃん

これ異常ないくらいの的確なツッコミをありがとう。

地獄に落ちろ(弔辞夫妻)

  • 20070310
  • ハジキのパパン ♦-
  • URL
  • 編集 ]
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