弾き、弾かれ

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水面下に潜む縦ロール

赤と青が激突した。
打つ、打つ、打つ、打つ。
高速の拳の交差が空気を切り裂き風を巻き起こす。

アイヌ民族の衣装に身を包んだ銀色のツーテール『道具(ツール)』いや『道具(アームズ)』がその髪と同じ銀色の篭手で固めた拳を突き出せば、
優雅なドレスに身を包んだ金色の縦ロール『真紅(ピジョン・ブラッド)』が螺旋状に捻りを加えた掌打を打ち出す。

倍速の殺陣を見ているかの様な立ち回り。
金と銀の髪が風で煽られ美しくたなびいた。

銀、足を突き出す。
金、身を捻ってかわそうとする。
銀、突き出した足を足の甲目掛け踏み出すように振り下ろす。
金、前に出した足を摺り足で下げ、回避を試みる。

銀、スカートの裾を踏みつける。

一瞬、ほんの一瞬だけ動きが止まった『真紅』の隙を見逃さず、『道具』はアビリティを起動。
腰溜めに構えた拳を、愚直なまでに一直線に突き出す。


―――龍顎拳奥義【銀腕(アガートラーム)】!


愚直故、小細工無し。
小細工無し故、最速。
最速故、避ける事適わず。

腹にめり込む確かな感触を拳に感じ、踏み込んだ足に力を込めて更に前に拳を突き出す『道具』。
後ろに飛んで逃げようにも、スカートが踏みつけられている為ベクトルを逸らす事が出来ない『真紅』。
踏みつけている部分が千切れ飛ぶまで体を突き抜ける衝撃を思う存分味わい、『真紅』は豪快に吹き飛ばされた。
すぐさま地を蹴り、追撃に移る『道具』。
土煙の向こうに消えた『真紅』目掛けて弾丸の様に突進し、その豪腕を振りかぶる。





そして、豪快に『蹴り』飛ばされた。





先ほどとは逆に、地面と平行に吹き飛んでいく『道具』

「エレガントとか…もぉうやーめでーすわー」

土煙の向こうでケンカキックを放った体制で呟く金髪の少女。
そのまま足を下ろすと、スカートの裾を握り一気に上まで引き裂いた。

「名付けて、バーリトゥードモード!ですわ♪」

パレオの様に腰でスカートを結ぶ。
隙間から覗くのは純白の下着…ということはなく、下にはスパッツを穿いていた。

「『殴る』という、貴女の『信念』を捨てる心算ですか」
「それで貴女に勝てるなら、安いものですわ♪」
「そうですか。ならば、その『信念』を以って、貴女を斃します」
「勘違いしているようですわね…『殴る』のは『趣味』…」

穏やかな微笑の中に猛禽を思わせる鋭い殺気を込め、睨む。

「これから始まるのは…『殲争』ですわ♪」

お互いに新たなイグニッションカードを取り出し、高らかに掲げる。


「「イグニッション!!」」


『道具』、右腕に肉食恐竜の顎を思わせるシルエットの巨大なガントレット、白を基調とした軽装のゴシックロリータ服を装備。
『真紅』、右腕に肉食恐竜の顎を思わせるシルエットの巨大なガントレット、赤と黒の禍々しいエアシューズを装備。

互いに腰を落とし、眼前の敵を見据える。
それはまるで引き絞られた矢の様に、放たれる一瞬を窺う二人。

――解る。
チリチリと肌に感じる殺気。
その殺気が開放されるべき瞬間が、解る。
恐らく向こうも同様に解っているだろう。
ならば、その速度、そして正確さこそが勝利の鍵。

互いに最大の『溜め』を開放し、同時に地を蹴る。
間合いを計算し、最大威力で拳を打ちつけるタイミングを計る『道具』。
対して『真紅』は大きく振り下ろすモーションを取った。

この間合いで?
おかしい、当たらない。
殴る?
どこを?


―――地面!


そう『道具』が気づいた時には既に『真紅』は宙を舞っていた。
ローラーシューズでは突進しながら地を蹴り上空へ跳躍する事は難しい。
ベクトルを殺す事無くより高く舞う為の装備、それが『真紅』の『破裂骨折』!

「おほほほほほ♪貴女の名前が泣きますわよ『道具』!翼を広げて空を舞うのは私の方が相応しかったようですわね!!」

対する『道具』も地を蹴り、上空を舞う白鴉を打ち落とさんとする。

「…気に入りません。ええ、とても。その翼、捥いで差し上げる」

放たれた弾丸がぶつかり合うかのような状況で、二人は同時にアビリティを起動する。


――龍尾脚奥義【威虎天翼】ッ!!
――龍尾脚奥義【落華龍彗】ッ!!


「チェスチェスチェスチェス、チェストォーーーーッ!!!」
「………舞い散れ、名も無き赤よ!」

まるで剣術の如く体ごと激しく回転する回し蹴りの嵐で『蹴り結ぶ』事、五合。
示し合わせたかの様に全く同じ軌道で放たれた蹴りは互いに威力を相殺した。
中空でニュートラルになった一瞬、目つきを鋭くして睨み合う。

(やりますわね)
(猪口才な)

口には出さずとも、視線だけで言葉を交わす。
そして青龍拳士のアビリティの特徴【連携】が発動し、気魄のアビリティを再び同時に放つ!


――龍顎拳奥義【獣王無塵】!!
――龍顎拳奥義【軍龍武手】!!


「痛!点!砕ィィッ!!」
「朽ち!果!てろ…ッ!!」

上から迫る金色の虎の顎。
下から飛翔する銀色の龍の顎。
拳と拳がぶつかり合い、互いの身体を上下へと弾き飛ばす。
蜻蛉をきって『道具』は着地し、腕を大きく引く。
『真紅』は上空でピッチャーが大きく振りかぶるようなモーションを取る。
そして【連携】が発動、続けて神秘のアビリティを放つ!


――龍撃砲奥義【暴虎彪牙】!!
――龍撃砲奥義【龍緑禍紅】!!


「ごぉぉぉっつい!ドラゴンバズーカですわぁぁぁぁぁっ!!」
「哈ァァァァァァァッ!!」

二人の右手に装備された獣の顎から放たれる光の奔流。
体を流れる氣を練り上げたそれは、ぶつかり合い大気を振るわせる。
反動に右手を震わせながら、歯を食いしばり波動の放出に集中する二人。
一体彼女達の何がそこまでさせるのか。

「ぬっ…くぅっ、いい加減斃れなさいな。人になれない道具風情が!!」
「…黙りなさい、道具にすらなれない人風情が!」

意地とが意地が激しくせめぎ合い、その余波が荒れ狂う。

「「あああああああああああああああああああっ!!」」

互いに最大出力を以って決着をつけようと全身に氣を巡らせる。


――その時


「―遅いと思っていたら、全く…」


白装束に身を包んだ男の姿が見えた気がした。
瞬間、『道具』が何者かに殴られたかの様に横に吹き飛び、
『真紅』の放っていた龍撃砲は、割って入った男の裏拳によって『物理的に軌道を逸らされた』。

ズシャッ、と決して優雅とは言えない体勢で着地し眼前の闖入者を睨みつける『真紅』。
男はまるで『真紅』など眼中に無いように、吹き飛んだ『道具』を肩に担ぐと『真紅』に背を向け悠然と歩き出す。
気に食わない。自分を無視するというのか。
後先考えず駆け出す『真紅』。

「待ちなさい!何人たりとも、この殲争に手出しをすることはッ!?」

拳を構えて突進していた『真紅』は、何かに気づいたように突如急制動をかけ、後ろへと飛び退く。
目の前には格子状に組まれた極細の糸が仕掛けられていた。

「おや、頭に血が上っているようで中々目聡いですねえ」
「『掃除屋』ァ…ッ!!」

首だけをこちらに向け、張り付いたようないやらしい笑みを向けてくる『掃除屋』と呼ばれた男。
あのまま突っ込んでいたら細切れの肉塊になっていた。
それを仕掛けていることすら見抜けなかった自分。
『掃除屋』はいないものと思い込んでいた自分。
全く、自分の不甲斐なさに腹が立つ。
先程の『道具』との戦いのダメージも決して無視できるレベルではない。
崩れ落ちそうになる足に鞭を打って奮い立たせる。
男は、一段と目を細めて語りかける。

「足に、来ておりますよ?」
「ご心配ありがとうございます♪でも、心配ありませんわ♪」
「ふふ…そうですか。私達はこのまま去ります。後ろから襲うなら、ご自由に」

当然の様に無防備な背中を晒して去ってゆく『掃除屋』。
侮辱されたと思った『真紅』は顔を赤くし、追撃せんと足を踏み出す。
が、その瞬間膝から崩れ落ち、地面に無様に倒れ伏してしまう。
遠ざかってゆく白い背中。

「できれば、二度とお会いしないことを祈っておりますよ。はははははははははは!!」

高笑いを残して闇へと溶けた『掃除屋』の方を睨みつけながら、歯軋りをする『真紅』。
転んだ際に口の中に入った小さい石の味が、何とも不快だ。


「――全く」


ごろん、と仰向けに寝転がり直し、雲ひとつ無い明るい夜空を見上げる。

――お楽しみはまだまだ続く、奴と殴り合う時間が増える。


「全く、ワザバラですわ」


そう思うと、不思議と顔は綻んでいった。
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それで

よく派手に怪我してるけど、貴方いつも誰と喧嘩してるわけ?(保健室で包帯まきまき)

水面下に潜んでる相手に無理矢理絡んでみるテスト。畏れ多い気もするが私は多分謝らない。多分。
にしても青龍拳士熱いなあ。

  • 20070421
  • 縁巻@保健室の主 ♦-
  • URL
  • 編集 ]
ツーテーラー

主 クンフー積みすぎwwwwwwwwww
ありがとうございました♪

ちなみに、ヒント:http://otd1.jbbs.livedoor.jp/347047/bbs_tree?range=20&base=703

そして、四字熟語の元ネタ探しが面白いのです。

大変マイナーなところからばかりとってるからびっくり。

こう、「探させたい」気分にさせる。

この世界の人間は

随分と『やる』な。

  • 20070423
  • 地獄令嬢@比留間の中の人 ♦mD5gn8q6
  • URL
  • 編集 ]
余計なお世話すまねえが

うーむ、流石に英語のみ書き込みは禁止にしといた方が良いのではないだろーか。

  • 20080724
  • 楠木香 ♦LEUra8kw
  • URL
  • 編集 ]
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